【赤堀真澄の薬膳コラム】 5月号 「心のアンバランスと薬膳」

人は生きている限り、イライラ、不安、悲しみ、落ち込み、クタクタ、何もやる気が起きない…など、毎日様々なストレスがやってきます。
新年度の新しい環境や人間関係に神経を張りつめた後の、ドッと襲ってくる心の疲労感「五月病」や、春に起きやすいイライラなどの精神不安定。気持ちがすっきりと晴れない、心の不快な状態が長引くと、体にも様々な影響を及ぼしはじめます。

ストレスを受けると胸が詰まって苦しい感じがしますが、これはみぞおちの辺りで「気」の流れが滞って固まっている「気滞(きたい)」という状態です。気の流れは血の流れを導くものですから、気滞があると血流まで滞ってきます。ストレス状態が長引くと、
気滞(きたい)→瘀血(おけつ)→体温が下がる→免疫力低下→病気へと向かう、という悪循環に陥り、免疫力が下がって病気を受け入れやすい体になってしまいます。
これがストレスは万病の元、こころと体はつながっていると言われるゆえんです。

そうはいっても毎日の生活の中でストレスは避けられません。ではどうやって心のアンバランスによる体への影響を回避すればいいのでしょうか。それは「今の心の症状に合った食べ物で改善」すればいいのです!
ストレスによって気血の流れの悪い状態をそのまま放置して長引かせないということが何より大切です。そこで今回は精神不安のタイプ別に、適する食材をご紹介します。自分の体を傷めつける心のアンバランスは、食の力を借りることで即効解決してあげましょう!!

今の気持ちは・・・「イライラ」する!!

(おすすめ食材)
香味野菜(セロリ、せり、春菊、紫蘇、ニラ、ねぎ、しょうが、みょうが、三つ葉、ミントなど)
柑橘類(レモン、みかん、オレンジ、柚子、グレープフルーツ、いちごなど)
良い香りのお花(バラ、ジャスミン、菖蒲、菊花など)
貝類(あさり、しじみ、はまぐりなどの貝類を殻ごと)
(解説)
カッとなることを「頭に血がのぼる」と言いますが、人はイライラすると気の流れが極端に上へ向かいます。すると血の流れも上へ引っ張られるため、頭に血がぼるという状態になり、目が赤くなったり、頭が痛くなったりします。
こんなときはイライラ、ムカムカをスッキリとした気分にしてくれる食材を摂りましょう。
香味野菜は和え物にしたり、汁物に浮かべたり、食事に少しずつ取り入れます。
柑橘類はそのまま食べるだけでなく、焼き魚に絞って。
香り良いお花は、目で見て香りをかいで気分を和ませてくれます。これらの花を乾燥させたものは漢方薬の原料としても使われています。花茶材料として売られていますので、ほっと一息のティータイムに紅茶に浮かべて飲むとリラックスティーの出来上がり。
貝類は殻に鎮静作用があるので、殻ごと調理するボンゴレやお味噌汁などの調理法がおすすめです。

今の気持ちは・・・「不安」でいっぱい!!

(おすすめ食材)
緑の濃い野菜(小松菜、ほうれん草、シソなど)
赤い色の食材(なつめ・レバー・にんじん・トマトなど)
貝類の身の部分(あさり、しじみ、牡蠣、はまぐりなど)
黒い色の食材(ひじき、黒ゴマ、黒豆など)
(解説)
「女性の一生は血に司られている」と言います。血液は酸素と栄養を運ぶだけでなく精神を安定させることにも関わっているため、血液が不足すると心のアンバランスが起きやすくなってきます。特に強い不安感は、血が足りていない時に出やすい症状です。
血の不足を補うのは緑・赤・黒の食材。積極的に食事に取り入れていきましょう。
増血作用のある食材を汁ものの具にしたり、緑の葉野菜を黒胡麻和えなどにして毎日食べましょう。

今の気持ちは・・・「悲しい・落ち込んでいる」!!

(おすすめ食材)
昇の作用のあるもの(唐辛子、七味唐辛子、こしょう、わさび、からしなど)
散の作用のあるもの(にんにく、ねぎ、たまねぎ、生姜、紫蘇など)
(解説)
悲しい、落ち込み、誰とも会いたくないという時は、気が下へ沈んで固まっている状態。こんな時は気持ちをぐっと持ち上げてくれる効果のある「昇(しょう)」の作用のある食材や、凝り固まった気を発散させてくれる「散(さん)」の作用の食材の力を借りましょう。
悲しい気持ちの時は、ピリッと辛(から)い食材が辛(つら)い心を助けてくれるでしょう。

今の気持ちは・・・「クタクタ・やる気が出ない」!!

(おすすめ食材)
タウリンが豊富な海のもの(イカ、あさり、タコ、 牡蠣など)
補気効果の高いもの(豆類、きのこ、山芋など)
梅干しや酢の物(クエン酸が即効疲労回復させ、エネルギーを与える)
(解説)
過労や精神不安で「気」を消耗すると途端に出てくる症状が「無気力」。
気虚(ききょ)と呼ばれる気の不足の状態は、エネルギーややる気不足の状態となって現れます。疲労困憊した体に気を補う魚介類、補気効果の高い豆類、きのこ類、イモ類を積極的に摂りましょう。
梅干しや酢にはクエン酸が豊富に含まれており疲労回復に役立つほか、気血の流れをスムーズにしてくれる働きもあります。

以上のように心を楽にさせてくれる食材があることを知り、それらを心の状態に合わせて摂ることが「心のアンバランスを癒す薬膳」となります。それ以外にも、

  • 深呼吸をしてみる
  • ひたすら眠る
  • 軽い運動をして汗をかく
  • 歌う、笑う、泣く、愚痴を人に聞いてもらうなど、自分から何かを吐き出すのもおすすめですよ!!

◆5月の薬膳レシピ
「セロリとあさりのトマトスパゲティ」

この時期、旬のあさりは、血液粘度を下げて血をサラサラにします。鉄分も豊富で、血液を補うため、不安感にさいなまれる時にぴったり。殻ごと調理すればイライラした気分を抑えてくれる上、貝の旨みも良いダシになります。トマトソースは昆布だしと合わせることによりグルタミン酸が際立ち、ツンとした酸味が和らいでマイルドになるのでおすすめ。セロリは気分をスッキリさせてくれる野菜NO.1。葉に薬効が高いので捨てずに使います。

<材料・4人分>
あさり400g、オリーブオイル大さじ3、にんにくみじん切り大さじ1、トマト角切り大1個分、トマト水煮缶1缶、セロリ1束、スパゲティ360g、茹でる時の水、塩適量。

(調味料)
昆布だしの素5g、しょうゆ、みりん 各大さじ1、塩小さじ2分の1。

<作り方>

  1. あさりは砂出しし、両手でこすり合わせるようにしてぬめりを落とすように洗う。
  2. セロリは筋を取って、軸を斜め薄切り、葉をざく切りにしておく。
  3. 鍋にオリーブオイルとにんにくみじん切りを入れ弱火にかける。香りが出たら、あさり、トマト角切り、トマト水煮缶を加える。ここで強めの中火にする。
  4. 蓋をして蒸らしながら鍋をゆすり、あさりの口が開いたら調味料で味を整える。
    セロリを加えさっと煮る。
  5. アルデンテの固さに茹でたスパゲティをソースで和える。

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