【吉川珠美の栄養学コラム】11月号 風邪予防

吉川珠美

免疫力を高めるために

 同じ人ごみの中にいても、風邪をうつされる人とそうでない人がいます。これは免疫力の強さの違いによって起こります。免疫とは、いろんな病気から体を守ってくれる体内の自衛隊のような存在。免疫がしっかりと働いてくれれば風邪だけでなく色んな病気にかかりにくく、健康を保つことができます。免疫はどんな人の体の中でも働いているはずなのですが、さまざまな要因によってその働きが低下してしまいます。
 そのもっとも身近な原因がストレスです。軽く適度なストレスならば、それと戦うために免疫は活性化されるのですが、ストレスのほうが強すぎたり、長引いたりすると免疫の働きが低下してしまいます。しかし、ストレスを無くすというのはなかなか難しいことです。そこで大切にしたいのが休養とリフレッシュ。ストレスが大きくなりすぎる前に、しっかりと睡眠をとったり、趣味でリフレッシュする時間を作りましょう。忙しい日常の中では、なかなか自分の時間を作ることは難しいかもしれませんが、病気になってしまってからでは取り返しがつきません。頑張った自分のご褒美としてリフレッシュの時間を作ることは、ココロにも体にも必要なことなのです。
 冬になると風邪が増えるのは気温の低下も原因です。風邪のウイルスは気温が低くて乾燥している環境を好むので、冬にその威力を発揮します。反対に体内の免疫細胞は体温が下がるとその働きが低下してしまいます。つまり冬はウィルスが強く、免疫が弱くなりやすい環境と言えます。ゆっくりとお風呂に入って体を温めたり、温かい飲み物で水分を補給することも、風邪の予防には有効です。

抗酸化ビタミンをたっぷりと

 食べ物に含まれる栄養素たちも、免疫力アップに役立ってくれます。特に注目したいのがビタミンACE(エース)です。まず、ビタミンAは粘膜の保護に働いて、鼻や喉からのウィルスの侵入を予防してくれます。先月もお話しましたが、ビタミンAには過剰症があるので体内で必要に応じてビタミンAに変換されるカロテンを摂取するのがオススメです。
 ビタミンCは免疫力を高めてくれるほか、ストレスによるダメージを軽減してくれます。ビタミンCはビタミンEと一緒にとることで効果が高まると言われているので、お料理で栄養素と味覚の組み合わせを楽しんでみるのも面白いですね。
 カロテンはにんじんやブロッコリーなどの緑黄色野菜に豊富です。ビタミンCは果物に豊富なほか、じゃがいもやサツマイモなどのイモ類にも含まれています。実はビタミンCは加熱に弱いのですが、いも類のビタミンCはでんぷんに守られているので壊れにくいのが嬉しいですね。そしてビタミンEはナッツ類に豊富です。これらの食材を組み合わせて、彩りと食感を楽しめるレシピを考えてみました。シンプルに素材の味を活かしながら、味噌のコク、ナッツの食感がそれぞれの持ち味をひきたてます。ゆっくりと、五感を使って味わえば、免疫力のアップにもなりますよ。

彩り野菜のアーモンド味噌ソース

4人分

あわせ味噌 大さじ4
みりん 大さじ4
砂糖 小さじ1
オリーブオイル 少々
アーモンド 10粒
にんじん 1本
じゃがいも 2個
ブロッコリー 1株
  1. 小鍋にあわせ味噌、みりん、砂糖、水少々を加えて火にかける。よく混ぜながらひと煮たちしたら火を止め、冷ましてオリーブオイル少々を混ぜる。
  2. アーモンドは粗く刻み、1のソースに混ぜる。
  3. にんじん、ブロッコリーは食べやすい大きさに切る。じゃがいもは皮をむいて食べやすい大きさに切る。蒸し器で竹串が通るくらいまで蒸す。
  4. 器に3の野菜を盛り、2のソースをかけていただく。

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