【吉川珠美の栄養学コラム】8月号 夏バテ対策

吉川珠美

夏バテの原因は?

 いよいよ夏も本番!暑さに負けず、パワフルに過ごしたいものですね。とは言っても、連日の猛暑では体調管理も難しいのが実情。「なんとなく体が重い」「食欲がわかない」「だるさが取れない」などなど夏バテを感じている方は、夏バテの原因から対策を考えてみましょう。
 まずは生活環境から。暑いからと言って、エアコンの効いた場所でばかり過ごしていませんか?体内に備わる体温調節システムは通常は1週間から10日ほどの時間をかけて気温の変化に体を慣らしていくのですが、外の暑さと室内の気温の差が大きいほど、システムが混乱してしまいます。節電のためにも、エアコンの設定温度は低くしすぎないようにしてみてくださいね。
 外出が多くて汗をたくさんかく方は、ミネラルの補給も大切です。汗は体温を下げるために重要な役割を果たしていますが、体液を犠牲にして作られているため、水分だけではなくミネラルも失ってしまいます。汗で失われるミネラルにはナトリウムだけでなく、カリウムやマグネシウムなども含まれています。これらのミネラルが不足すると、筋肉への神経伝達がうまくいかず、体が重く、だるく感じてしまうことがあります。カリウムはトマトやキュウリ、ナスなどの夏野菜に豊富に含まれているので、旬の野菜をしっかり食べるのも美味しく夏バテを予防できるポイントです。またマグネシウムは大豆製品や海藻に豊富。さらにこれらのミネラルはお酢と一緒にとることで吸収が高まるので、昔から夏にはきゅうりとわかめの酢の物などをよく食べることは、とても理にかなっていたのですね。

冷たいものの食べすぎにも注意

 そして、夏といえば冷た~いスイーツが美味しい季節。ところが冷たくて甘いものの食べすぎは、夏バテをさらに促進してしまいます。温度が低いと甘味を感じる味覚は鈍くなるので、冷たくて甘いものには予想外にたくさんの甘味料が使われています。そこに含まれる糖分をエネルギー源として燃やすためにビタミンB1が必要です。しかし精製された甘味料にはほとんどビタミンB1は含まれていないので、体から奪われてしまうことに。そしてビタミンB1が不足すると、今度は糖分をエネルギーとして燃やせなくなってしまいます。つまり、ガソリンは満タンなのに、エンジンが動かない状態になり、体が重く、だるく感じてしまうのです。
 アイスクリームやスイーツをあまり食べない人でも、水分補給のつもりのドリンクには注意が必要です。スポーツドリンクは吸収率を上げるために糖分が含まれています。アスリートのようにたくさん運動をしない人がスポーツドリンクをたくさん飲むと、水分やミネラル補給はできていても、糖分の摂り過ぎになる可能性があるので気をつけましょう。

ビタミンB1が大活躍

 夏バテ対策のために一番のオススメ食材は豚肉です。豚肉には良質のたんぱく質とビタミンB1が豊富に含まれています。また豚肉をたまねぎと一緒に料理すると、たまねぎに含まれる硫化アリルがビタミンB1の吸収を高めてくれるので、栄養的にも相性バッチリ。今回は旬のナスをあわせた簡単なキッシュ風のお料理をご紹介します。ナスは皮にポリフェノールが含まれているので、皮ごと料理します。キッシュといえばタルト生地を使いますが、こちらはグラタン皿にそのまま生地を流しいれるので、お手軽でカロリーもカットできてヘルシーに。小さなココットで作れば前菜に、大きな器で作ればおもてなしのメインディッシュにも応用できます。食欲がないときは炒める際にカレー粉などのスパイスを使ったり、お好みでアレンジしてお試しくださいね。

「ナスとひき肉のキッシュ風」

4人分

なす 2本
たまねぎ 1/4個
ぶたひき肉 150g
オリーブオイル 少々
塩、胡椒 適宜
パセリ 少々
3個
牛乳 1/2カップ
ピザ用チーズ 適宜
  1. なすは1cmの輪切りにし、大きければもう半分に切る。たまねぎはみじん切りにする。
  2. フライパンにオリーブオイルを熱し、ひき肉を炒める。余分な油をペーパーで拭き取り、豚肉の色が変わったらなす、たまねぎを加えてさらに炒め、なすがしんなりしたら塩、胡椒で味を調えて火を止める。
  3. ボウルに卵、牛乳を加えてしっかりと混ぜ合わせる。耐熱皿に1を敷き、卵液を流しいれる。ピザ用チーズを乗せてオーブントースターで焼き色がつくまで焼き、仕上げにパセリのみじん切りを散らす。

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