【赤堀真澄の薬膳コラム】 7月号 熱中症は中医学ではこう考える!熱中症を防ぐ薬膳

真夏は地上に降り注ぐ強い天の炎熱が地面の湿気を蒸発させる時期でもあり、人はちょうど「上は熱、下は湿」の狭間に存在するため暑邪と湿邪の影響を同時に受けやすくなります。
暑邪にやられますと、めまい・頭痛・身痛・発熱を感じ、熱で体内の潤いを消耗させるため喉が渇き、顔面が赤く紅潮します。体内の熱が極まると失神などの意識障害、筋肉の痙攣、手足の運動障害まで波及します。
湿邪を感受することにより、上記の症状の他、吐き気・体のだるみ・嘔吐を起こすこともあります。これが熱中症といわれる症状で、中医学では熱中症のことを「中暑」と呼んでいます。
また、子供は「陽のかたまり」と言われるほど熱を体内に込めやすく、お年寄りは加齢による気の不足で外邪がたやすく侵入するために、熱中症には特に注意が必要です。

熱中症対策としては、気を補って充分に体力をつけ、厳しい外気温の変化に対して体温調節できる体づくりをしておくこと、汗をかいて失われた水分を補い、火照りを取って体を潤す食材で脱水症状を起こさないよう注意しておくことが大切です。

この時期おすすめ熱中症対策によい食材

補気作用の高いもの…うなぎ、山芋、エンドウ豆
熱を冷まして体内の潤いを増やすもの…葛粉・スイカ・きゅうり・ゆり根・冬瓜・白きくらげ
厳しい暑さに対抗できる体を作るもの…五味子(ごみし)・ゴーヤ
熱を冷まして火照りと湿気を排出するもの…荷葉(かよう)(ハスの葉)・緑豆

ハスの葉(荷葉(かよう))について

荷葉はハスの葉を干して刻んだ生薬で、真夏の熱中症予防に最適な薬草です。水600ccに対して荷葉を6~10gを加え、しばらく煮出したものをお茶にして飲むと、暑邪による体の火照りを取りのぞき、体液バランスを調整してくれます。冷たい水の飲み過ぎによる消化不良も改善するので、夏バテ予防にもおすすめです。荷葉は漢方薬局やネット販売で購入可能です。

緑豆について

豆類の中でも湿熱邪を取りながら解毒させる効果の高い緑豆ですが、口の渇きや体ののぼせ・火照り取りに、暑気あたり改善の夏向け食材として欠かせないものです。緑豆の他、緑豆春雨、緑豆もやし、ムングダル(皮むき緑豆)を使ってもOKです。

五味子(ごみし)について

アセロラに似た甘酸っぱい果実を干した生薬です。五味子は朝鮮五味子が有名で、韓国ではこれを煮出した五味子茶を夏バテ予防に飲みます。夏バテの処方「生脈散」にもこの五味子が含まれることから、五味子は激しい外気温の変化に対応できる体を作るといわれています。韓国食材店で、手軽なお湯で溶かして作れる顆粒タイプの五味子茶が販売されています。

熱中症対策薬膳レシピ

「白きくらげ入り肉団子の冬瓜春雨スープ」

豚肉と白きくらげは体の潤いを増やす食材。白きくらげを肉団子に混ぜ込んで、体内の熱と湿を取る冬瓜と緑豆春雨を加えてスープにしました。暑いからといって冷たいものばかり食べていてはそれこそ夏バテまっしぐら。火照りを冷まし、湿邪を下ろす食材を、胃腸に負担がかからないスープという調理法で摂り、厳しい夏に元気に立ち向かっていきましょう!

(材料)4人分

冬瓜150g、春雨(乾燥)20g、
肉団子材料:豚ひき肉80g、白きくらげ(乾燥)4g、白ゴマ小さじ2、片栗粉大さじ1、塩コショウ少々、ごま油小さじ2、しょうゆ小さじ1、砂糖小さじ2分の1。
水1000cc、中華だしの素大さじ1、塩小さじ2分の1、しょうゆ小さじ1、こしょう少々、ごま油大さじ1、水溶き葛粉適量。

(作り方)

  1. 白きくらげは水で戻し、水気を拭いてから包丁で細かくみじん切りにする。
  2. 冬瓜は皮を薄くむいてタネとワタを取り、一口大に切る。
  3. ボウルに豚ひき肉、みじん切りの白きくらげ、白ゴマ、片栗粉、塩コショウ、しょうゆ、砂糖、ごま油を加えて下味をつけ、手でよくこねる。丸い団子を作る。
  4. 鍋に湯を沸かし、冬瓜と2の団子を加えて冬瓜が柔らかくなるまでしばらく煮る。中華だしの素と春雨を加えて3分ほど火を通す。
  5. 味をみて塩コショウ、しょうゆ、ごま油で味を調え、水溶き葛粉少々で薄いとろみをつける。

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