【吉川珠美の栄養学コラム】4月号 便秘予防

吉川珠美

 便秘はお腹が張る不快感だけでなくお肌にも悪影響を与えてしまうので、インナービューティーを目指す女性には憎き敵とも言える症状です。しかしながら便秘に悩まされている女性がとっても多いのも現実。男性よりも筋力が弱い女性では、便を押し出す力が弱く、便秘になりやすいことは事実です。ならば、食べ物のチカラを借りて、美味しく便秘を解消してしまいましょう!
 便秘の解消にはまず、腸を健康に保つことが重要です。私たちの腸にはなんと100兆(!)もの菌が住んでいるのですが、菌には善玉菌と悪玉菌がいて、どちらの菌が多いかによって腸の健康度が左右されます。悪玉菌が多いと、菌が作り出す毒素によって腸の健康度が低下し、ますます便秘がひどい状態に・・・。悪玉菌はお肉などを食べ過ぎて消化しきれなかったたんぱく質をエサにして増えるので、肉食女子は注意が必要です。
 反対に善玉菌が多いと、菌たちが作り出す有用な物質により、腸が健康に保たれて自然なお通じが引き起こされます。善玉菌を腸に補給するためによく食べられるのがヨーグルト。ヨーグルトに含まれる乳酸菌などの善玉菌を腸に直接届けることで、腸の健康度をアップしようという作戦です。乳酸菌は糠漬けやキムチなどの発酵食品に含まれているので、色んな発酵食品を食事に取り入れると良いでしょう。
 ただし、乳酸菌は胃酸に負けてしまう可能性があるため、腸まで生きたまま届かないかもしれません。そこでしっかり摂取したいのが食物繊維です。食物繊維には水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けない「不溶性食物繊維」の2種類がありますが、便秘解消のためには両方を摂取すると効果的です。水溶性食物繊維は腸内で善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やしてくれます。また不溶性食物繊維は水を吸って数倍に膨れ、腸を刺激してぜん動運動を活発にしてくれます。
 食物繊維は野菜や果物、きのこや海藻類に豊富に含まれていますが、水溶性と不溶性の両方を摂取するためにオススメしたいのが「ごぼう」です。ごぼうには100gあたり5.7gもの食物繊維が含まれています。これはごぼう約1/2本ほどの量になります。ごぼうと言えば「きんぴらごぼう」や「ごぼうサラダ」が定番ですが、色んな料理に加えてみると新しい魅力が発見できます。特にお肉の旨味とごぼうの香りはとっても相性が良いのでビーフシチューやミートソースに加えるといつもの肉料理がヘルシーに変身です。また、煮込むと旨味が増すので、ラタトゥユにしてみてはいかがでしょうか?ラタトゥユは色んな料理の付け合せやお弁当のおかずにも便利ですし、保存がきくので作り置きできるのも嬉しいですね。

ごぼうのラタトゥイユ

2人分

ごぼう 50g
トマト 1個
ナス 1本
たまねぎ 1/2個
パプリカ 1/4個
にんにく 1かけ
パセリのみじん切り 少々
オリーブオイル 適宜
塩、胡椒 適宜
  1. ごぼうは表面を洗って乱切りにする。トマトは2cm角くらいのざく切りにする。ナスはヘタを取って乱切りにする。たまねぎは1cm角に切る。パプリカは種を取って2cm角に切る。にんにくは包丁の腹で潰す。
  2. フライパンにオリーブオイルとにんにくを加え弱火で加熱する。香りが出たらごぼう、たまねぎ、ナス、パプリカを加えて中火で炒める。トマトを加えて塩、胡椒し、弱火で炒め煮にする。
  3. 水分がなくなったら火を止めて器に盛り、パセリのみじん切りを散らす。

Point

  1. ごぼうは包丁の背などで皮を全部むいてしまうと、栄養も旨味も減ってしまうので表面をたわしなどで洗って使います。
  2. 調理のときは弱火でじっくりと、野菜に汗をかかせるように炒め、旨味を閉じ込めます。

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