陰の気が支配する一年で最も寒い季節。いよいよ今年も冬の到来間近ですね。
私は自分自身、幼いころから寒さに弱い体質のため、毎年冬が来るのがとても憂鬱でした。真冬の朝、温かい布団から出る瞬間、パジャマから服に着替える瞬間、バスや電車を待つ時間の寒さがとても辛く感じます。中医学の養生を学んだ今ではその辛さを少しでも和らげようと、ベッドの横に起きぬけに羽織る上着をスタンバイしていたり、部屋と体が充分に温まってから着替えたり、ホームでの待ち時間に寒く感じないよう、寒さが入りやすい3つの首(首、手首、足首)の保温は万全にしたりという努力は欠かせません。そのため冬の私はおしゃれや素敵なファッション度外視の、ただひたすら防寒対策に余念がないという“いでだち“で登壇させていただいております(笑)。
さて中医学では冬は「腎」という臓器と関係があります。腎は寒さに弱い臓器で、冷える季節に最も不調が出やすいところです。中医学理論では人間が老化することは=「腎」が衰えていくことと考えますので、体を冷えさせないということは、ひいては寒さから腎を守りしっかりとアンチエイジングできていることになります。そこで冬には是非摂りたい!アンチエイジングにもバッチリ効く!!体ぽかぽか冬向き「腎強化」食材をたっぷりとご紹介いたします。これらの食材を冬の間意識して摂ることで、体がひと冬で老化するのを防ぎ、いつまでも若々しい体作りに役立ちます。冬向き食材をぜひ週に2,3回は食卓に登場させるようにしてみて下さい。
【2013年11月掲載の「五色のチカラ・黒」も是非ご参照ください!http://japan-innerbeauty.org/?p=1026】
これが冬向き食材だ!
冬の寒さから身を守る体ぽかぽかアンチエイジング食材!!
★海老(えび) 性=温、 帰経=肝・腎
おせちでも「腰が曲がるほど長生き」を意味する不老長寿のシンボル、海老!
足腰を温めだるさを取り、強精作用に優れています。冬にしくしく痛むだるい腰痛改善やコレステロール低下、血圧を下げる働きもありますので生活習慣病にも。体が冷えやすい方のメインメニューの食材として海老は大変おすすめです。
殻ごと食べられる桜海老は、カルシウム・タウリンも豊富で滋養強壮効果が高い食品です。
いいダシが出ますので、こちらは和え物や炒め物のほか、炊き込みご飯におすすめです!
★羊肉(マトン・ラム) 性=大熱性、 帰経=肝・腎
肉類の中で体を温める効果が高いと言われる羊肉は、血を増やす作用も大変優れていることから、薬膳では冷えて貧血の「女性(向き)の肉」と言われています。芯から体を温め気血をたっぷりと補い、体力をつけてパサパサ・カサカサ・ふらふらなどの血液不足の症状をよく改善します。
★胡桃(くるみ) 性=温、 帰経=腎・肺
かの西太后も非常に好んで食べたと言われるくるみ。
栄養価が高く老化防止、滋養強壮に優れています。腰膝の冷えてだるい痛み、冷える季節の頻尿、精力の衰えに効果があるほか、なかなかとまらない咳や便秘にもよく使われます。くるみに含まれる不飽和脂肪酸は肺を潤すと同時に大腸も潤わせる作用があるため、お通じ促進食材としてもおススメです!お肌と呼吸器、腸までしっとりと潤す、冬の乾いた体にピッタリのくるみ。そのままをおやつに食べるだけでなく、砕いてサラダのトッピングや、ペースト状にしてタレのベースにしても美味しく食べられる食材です。
★栗 性=温、 帰経=脾・胃・腎
栗は足腰を強くして老化を防止する補腎食材です。
血液サラサラ効果も高く、アンチエイジングには欠かせません。
最近は便利な「むき甘栗」が売っていますのでおこわや炊き込みご飯に、手軽におやつがわりに栗を食べる習慣を!
★魚介類
タコ・イカ・あさり・牡蠣・はまぐり・海藻類
サザエやなまこなど海から採れるものを食べましょう。
その素材自体が天然の磯の風味がする冬の寒い時期に旬を迎える美味しい海の幸は、体の渇きを癒したり、たまった老廃物をデトックスしたり、精力をつけたりとアンチエイジングには欠かせない成分がたっぷり!冬の献立は海鮮鍋や煮込み料理、とろみのついたあったかシチューなどに魚介類をメインに使ってみて下さい。
★ニラ 性=温 帰経=腎・肺・肝
ニラは生命力が強く成長の早いことが特徴で、そのことから精をつける食材とされてきました。野菜の中でも特に体を温める力が強く、気のめぐりを良くして血行を促進し、解毒効果も高いため冬の病気予防に良いと言われています。和え物や炒め物、ニラ餃子や汁もの、鍋ものの青味としてどうぞ!
●体を温め冬の寒さから腎を守るアンチエイジング三カ条
- 冷たい飲み物、食べ物を摂らない。
とにかく冬を元気に乗り切る養生法においてこれなくしては語れません!
冷たいものを控えることは、健康への重い扉を開く第一歩です!!
たとえば1年を通して、- 温かい飲み物、火を通したものを食べる。
- 夏でもお茶は冷蔵庫に入れず常温で。
- フルーツは食べる1時間前には冷蔵庫から出して。
- 飲み物に氷を入れない。
今まで冷たく冷やしたお茶に慣れていると、いきなり常温で飲むことは抵抗あるかもしれませんが、だんだんとその温度に慣れてきます。
私自身も長年の冷えのトラブル、血行障害による右半身の痺れがなくなり、子供のお腹が弱かったのも、冷たい飲み物を与えないことで劇的に改善できました!
お風呂では湯船にゆっくり浸かっていますか?
重ね着は下半身には上半身より一枚多く。生理中はもう一枚下着や靴下を増やしましょう。 - 黒い色の食べ物、海のもの、または今回ご紹介している冬に良い食材を選んで食べる。
- 12時以前に寝る。
夜ふかしは百害あって一利なし!
日付が変わる前にはベッドに入って寝ましょう。
●冬のおススメ薬膳メニュー
冬のおもてなしの一品にも!体を温める食材ぞろいの冬のポカポカ薬膳レシピ
「ラムチョップのハーブソテー、柚子茶ソースクルミ添え」
(材料)4人分
ラムチョップ 4本
オリーブオイル 大さじ2
塩、粗引き黒こしょう 適量
ウイキョウ、ローズマリー(乾燥)小さじ1/2ずつ
にんにくすりおろし 大さじ1/2
赤ワイン(なければ白でも)100cc
柚子茶(韓国の柚子ジャムのこと)大さじ1
しょうゆ 大さじ2
クルミ 4 ,5粒
(作り方)
- ラムチョップは予め冷蔵庫から出しておいてフォークで数箇所刺しておく。塩コショウとにんにくすりおろしをよくすり込んでおく。
- フライパンを熱してオリーブオイルを温め、ラムチョップを両面こんがり焼く。焦げ目がついたらワイン100ccを加えてふたをして数分蒸し焼きにする。
- 肉を取り出し、残った肉汁に柚子茶としょうゆを合わせ少しとろっとするまで煮詰める。
- ラムにソースをかけ、クルミを炒って粗くくだいたものをトッピングする。