【寺石佳世の栄養学コラム】10月号 『ダイエット 第5弾』

担当:寺石佳世

みなさん、時計遺伝子という言葉を聞いたことがありますか? 私たちの体の中には、時計遺伝子というものがあります。
日周リズムは1日24時間ですが、体のリズム(概日リズム)は1日約25時間で動いています。
けれど、ずれていくことはありません。なぜなら、私たちの体の中にある時計遺伝子が、毎日修正しているからです。この時計遺伝子をスムーズに働かせると、体の調子が整い、ダイエットにも効果があるんですよ。今回は、時計遺伝子や食事の時間についてお伝えしましょう。

時計遺伝子はどこに?

時計遺伝子には、中枢時計遺伝子と末梢時計遺伝子があります。中枢時計遺伝子は脳の視交叉上核という部分に、末梢時計遺伝子は肝臓、小腸など全身の多くの細胞中にあります。

どんな風に働いているの?

中枢時計遺伝子は朝の光で時計の針の位置を毎朝修正し、概日リズムを24時間に変え、末梢時計遺伝子にも影響を与えています。末梢時計遺伝子は朝食などの摂食活動で時計の針を合わせています。

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時計遺伝子をスムーズに働かせるために大切なことは?

 1.朝の光を浴びること
 2.朝食を食べること

1.朝の光を浴びること
 人は真っ暗闇で生活すると、約25時間の周期で睡眠・覚醒が起こります。けれど、地球上では24時間サイクルで昼夜が変わっています。朝の光を浴びると、中枢時計遺伝子が時計の針を朝に合わせて毎日のリズムを保ってくれているのです。
 最近は、夜でも明るい場所がたくさんありますね。電気の光でも、明るい光を浴びると体は昼間だと錯覚してしまいます・・・夜は、明るい場所に行くのを控える、家の中では少し照明を落として、体が夜だと認識出来るように工夫するとよいですね。

2.朝食を食べること
 中枢時計遺伝子と末梢時計遺伝子が同じ周期で働くために、朝食を摂るのが効果的です。
末梢時計遺伝子は中枢時計遺伝子とは別の経路で体内時計を整えてくれます。視覚系がまだ未発達の子どもや目が悪くなってきた高齢者の方などは、規則正しいリズムで食事を摂ることで体内時計をスムーズに働かせることができるのです。
 また、一方で、夜遅くたくさん食事を摂った場合は、体内時計が後ろに引っ張られていきます。つまり、体内時計が狂っていくことに繋がります。夜遅く食べて、さらに朝食を食べない場合は体内時計がリセットできないままになってしまうということです。
少量でも構わないので、朝、何かを食べる習慣をつけていくと、体内時計がスムーズに働いていきますよ!

メタボはリズムの乱れ?

実は日本人のエネルギー摂取量は年々減少傾向です。なのに、なぜこんなにメタボの人が増えているのだろう?と疑問に思いますが、生活リズムの乱れが原因ではないかと言われています。生活リズムが乱れると時計遺伝子がスムーズに働きません。時計遺伝子の乱れが運動能力を低下させ、耐糖能が低下し、代謝が異常になって、それが肥満の原因になる。ということがわかっているのです。

おススメ生活

☆朝食を食べましょう!
  朝食を食べないと夕食の次は翌日の昼食です。長時間食事を食べないと、体はエネルギー不足に陥ります。このようなことが何回も続くと体は飢餓に備えて、昼食・夕食のエネルギーを脂肪で蓄えておこうとします。また、同じエネルギー摂取量でも朝食を多くとった場合と夕食を多くとった場合では、夕食を多くとった場合の方が体重は増えてしまいます。これは夜、副交感神経が優位に働くためと、夕食後に活動のエネルギーがあまり使われないためだと考えられます。
 朝食をしっかり食べ、夕食の食事量を控えればダイエットになりますね。
少しでよいので、おにぎり、野菜ジュースなど、何でも食べやすいものを食べる習慣をつけて
いきましょう。

☆1日3回、できるだけ同じ時間に食べる習慣をつけましょう♪
同じ時間に食べることによって体内リズムがととのいます。
空腹時間が長くなると、次の食事での吸収が高まって太る原因になりますよ。

☆就寝2時間前に食事をすませましょう♪
夜は副交感神経が優位に働き、脂肪を蓄えようとしますよ。寝る直前に食べるのは控えましょう。

子どもには朝食を食べさせましょう!

朝食を食べない方がいいという方もいらっしゃいます。が、子どもには朝食を食べさせましょう!
子どもは成長するために、また活動量が多いので、たくさんのエネルギーが必要です。にもかかわらず、消化機能はまだ未発達で、1度にたくさん食べられません。朝昼夜の3度の食事が必要なのです。

子どもにとって、朝食はなぜ大切なの!?

◇脳へエネルギーを供給します
脳のエネルギー源はぶどう糖だけです。脳は安静にしていても1時間で約6g、1日あたり
約144gのぶどう糖を消費します。食事で摂った糖質は一度ぶどう糖に分解され、グリコーゲンに再合成されて肝臓に蓄えられます。その貯蔵量は限られていて最大で約100gと言われています。そのため、3回の食事をしっかり食べてぶどう糖を供給することが必要です。
 朝ごはんを抜くと、脳に十分なエネルギーが供給されなくなって、脳の働きが悪くなりますよ!

◇体温を上昇させます
朝起きてから実際に活動に適した体温に上がるまでに、若干の間があります。食事をとると各臓器でエネルギーを燃やして熱を発生する熱産生が起ります。食事を食べるだけで体は燃えるのです。朝食を食べれば午前中の体温上昇がスムーズになり、午前中から活発に行動できると考えられています。
また、食べ物を噛むことで味覚、嗅覚が刺激され、脳の視床下部に伝達されます。これにより交感神経系が興奮するため、ノルアドレナリン(ホルモン)の分泌が促されると同時に体のエネルギー代謝も活発になります。

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◇腸を刺激して排便習慣がつきます
胃の中に食べ物が入ってくるとその信号を受けて大腸がぜん動運動を起こし、便をS字結腸から直腸へ送り出します。朝食を欠食することで生活リズムが乱れ、それが便秘の原因になることがあります。

朝食が食べられないサイクル

 こんな生活になっていませんか?

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最後に・・・

健康な生活をおくるためにも、ダイエットにも、早寝早起きが一番ですね。
そして、朝食のオススメは“ごはん(米)”です。朝食で、毎日「ごはん食」の人と「パン食」の人を比べた場合、「ごはん食」の人の方がカロテン・ビタミンC・鉄などの摂取が10~30%程度多いことがわかっています。これは、ごはん食の方がおかずの組み合わせで主菜・副菜が揃いやすいためだと思われます。さぁ、皆さんも早寝早起きで健康的にダイエットしていきましょう!

白菜のまぜまぜサラダ

材料【2人分】

白菜 2枚
乾燥わかめ 3g
白ねぎ 5cm分
かつお節 5g
白ごま 大さじ1
桜えび 10g
ごま油 大さじ1.5
大さじ1.5
しょうゆ 大さじ1

作り方

  1. 白菜はせん切りに、白ねぎは粗いみじん切りにします。
  2. 乾燥わかめは水につけてもどし、水気を切って刻みます。
  3. 器に白菜、わかめを混ぜて盛り、かつお節、白ごまをふりかけます。
  4. 小鍋にごま油を熱し、桜えび、白ねぎをこんがりと炒めます。火からおろし、しょうゆ、酢を加えて熱いうちに③にかけ、さっと和えます。

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