【赤堀真澄の薬膳コラム】 5月号「五色のチカラ・黄」

皆様こんにちは!今回の薬膳コラムは、もう少ししたらやってくる梅雨の時期の食養生のお話をしたいと思います。
日本の梅雨時期はひと月半ほどと短いので、この湿気の季節を乗り切るために特別に何かをするという方は少ないかもしれません。しかし日本人は胃腸を冷やして体内に余分な湿気をため、雨の日や梅雨時期に調子が悪くなる人がとても多いのです。

日本は周囲が海で囲まれている島国であり、近年の温暖化のため夏は南国並みに高温多湿になります。また日本の代表的な食文化として「寿司・刺身・サラダ・生ビール」があります。これらの生もの、冷たい食べものは胃腸を冷やして体内の水の巡りを悪くしてしまう要素があります。したがって日本人は外的要因でも内的要因でも、湿気を身体にためやすく、次第に体内が湿地帯になってしまう条件がそろっています。ですから短い梅雨時期ですが、いかにこの時期の養生が大切かがわかります!!

梅雨の湿気に最も弱い臓器は「脾」。ここは体の胃腸機能で、消化吸収排泄を司る場所です。この時期は自分の体が雨の日に干された洗濯物になったと思って下さい。体から余分な水分が外へ出にくいうえ、外気の湿気をより吸収して、いつまでもジットリ湿ったまま。雨の日は誰もが体内に水分が溜まりやすく、代謝が下がり、むくみや下痢がち、やたらと眠くなるという特徴があります。

脾は消化吸収機能と水分の運搬を司る臓器で、食べた物から「気・血・水」を作り出すとても大切な場所です。この脾はもともと湿気に弱く、体に余分な湿が溜まると途端に働きが悪くなります。消化が鈍り、せっかく良いものを食べてもそれを気・血・水に変えることができません。

また脾は内臓や肌肉の位置を保持するという働きを司るため、体やお顔のたるみは脾が弱った時にはっきりと現れます。さらに口の周りに出るトラブルは脾が弱った証拠。法令線やほおのラインの下垂が気になり出したら、リフトアップの高級クリームを塗るのではなく内側から脾の機能をアップさせましょう!
この梅雨の時期は、まずお腹を強くすること、そして体に余分な湿気を溜めないよう常に排出させることを心がけてみて下さい。

食べ物では体内の湿気を排出させながら消化吸収機能を高める大豆や小豆、エンドウなどの豆類、冬瓜やキュウリなどの瓜類、ジャガイモや山芋などのイモ類、トウモロコシやモヤシなどの野菜がおススメです。この中でも「黄色い食材」は脾の機能を高めるものが多いため、今回の「五色のチカラ」は黄色い食材の薬効や調理法をご紹介します!
むくみやすい人は気温が高くなってきた梅雨時期でも冷たい飲み物をやめて、引き続き体を冷やさないように気をつけましょう。


黄色い食材とは、さつまいも、じゃがいも、とうもろこし、かぼちゃ、大豆、栗など色が黄色っぽい食材を指します。

【さつまいも】

  • 性=平 (身体を温めも冷やしもしないという意味)
  • 帰経=脾・胃・腎(身体に入ると脾と胃と腎に入っていって効能を発揮)
  • さつまいもは胃腸を丈夫にして気力体力を補います
  • 豊富な食物繊維で便通を促します

大腸がんが日本人の死因のナンバー1になる日も近いといわれています。さつまいもはお通じ促進効果が高く、大腸がん予防の野菜として有名です。ビタミンCも豊富に含むため、紫外線が一年で最も強いと言われるこの時期におすすめ!お腹の張りやすい人は、さつまいもは皮ごと調理すると安心です。お弁当に入れると最後に少し甘めのこの味に、何となくホッとさせられます。

~さつまいもとにんじんのグラッセ風きんぴら~

(材料)
さつまいも(200g)1本、にんじん1/2本、水100cc、コンソメ顆粒小さじ1、バター小さじ2、塩小さじ1/2、黒炒りゴマ大さじ2。

(作り方)

  1. さつまいもは良く洗って皮ごと、にんじんは皮をむいて5ミリ角の長さ4センチ程度の棒状に切る。
  2. 鍋に米油(分量外)大さじ1を熱し、さつまいもとにんじんを炒める。しっかり炒めたら水、コンソメ顆粒、バター、塩を加えて汁けがなくなるまで炒める。
  3. 仕上げに黒炒りゴマを加えてよく混ぜ合わせる。

【とうもろこし】

  • 性=平(食べた後、身体を温めも冷やしもしない)
  • 帰経=胃・大腸・膀胱(効能が胃と大腸と膀胱に作用します)
  • とうもろこしは体力をつけて消化不良や食欲不振を改善します
  • 利尿作用があります
  • コレステロールを減らして血栓を予防するので生活習慣病にも用います

とうもろこしはプチプチした食感がおいしいですが、それを最大限活かすのがかき揚げです!じゃがいもをさいの目切りにしたものとコーンの組み合わせは子供も大好きなメニュー。揚げたてに大根おろしを添えて召し上がれ!

~コーンとじゃがいものかき揚げ 大根おろし添え~

(材料)
とうもろこし1本、ジャガイモ2個分 1センチのさいの目切り、揚げ衣(小麦粉1カップ、卵1個、水150cc、塩こしょう少々)、大根おろし、しょうゆ適量。

(作り方)

  1. とうもろこしは皮とひげをとって生のまま実を包丁で削る。(スイートコーン1缶を使ってもよい)
  2. じゃがいもは皮をむいて1センチ角に切っておく。水にさらして水気をきっておく。
  3. 揚げ衣を混ぜすぎない程度に合わせ、とうもろこしの実、じゃがいもを加えてざっと混ぜ、スプーンですくって落とし、両面こんがりと170度の油で揚げる。
  4. 油をきって器に盛り、大根おろしを添えしょうゆ少々かけて食べる。

【大豆】

  • 性=平(食べた後、身体を温めも冷ましもしない)
  • 帰経=脾・大腸(効能が脾と大腸に作用します)
  • 胃腸の機能を助け腸を整え、気力体力を補います
  • 浄血作用があるので血流を良くします
  • 解毒効果が高く、膿を出し、余分な湿気を排出させます

~大豆と鶏肉、昆布のしょうゆ煮~

大豆の五目煮のアレンジで、鶏肉入りで食べごたえをつけ、味噌としょうゆ味を利かせて箸のすすむおかずにしました。このメニューに入っている柔らかい昆布が大好きです。昆布も余分な湿気排出に良い食材です!

(材料)
大豆ドライパック(缶入りゆで大豆)1缶、鶏モモ肉1/2枚、干しシイタケ2枚分を水で戻して1センチの角切り、昆布10センチ角を水で戻して1センチ程度の角切り、にんにく1片みじん切り、豆板醤小さじ1/2、しょうゆ大さじ2、酒大さじ2、味噌小さじ2。

(作り方)

  1. 鍋に米油(分量外)大さじ1を熱し、にんにくみじん切りを炒め、香りが立ったら角切りした鶏モモ肉、干しシイタケ、昆布を炒める。
  2. 肉の色が変わったら大豆、干しシイタケの戻し汁100cc、豆板醤、しょうゆ、酒、みそを加え、良く混ぜながら汁気が無くなるまで煮る。

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