【赤堀真澄の薬膳コラム】 11月号 「自然の陰陽の移り変わりと冬の季節の過ごし方」

空気がひんやりと感じられ、秋がすっかり深まった今日この頃、自然界に「陰の気」が増してきたなと実感します。春夏は陽の気が盛んになるため、日が長く明るく気温が高くなり、秋冬は陽が陰と交代して、次第に日が短く暗く寒くなってきます。このように一年の季節の移り変わりを陰陽で考えると、陰と陽はいつもリレーをしてバトンタッチしながら入れ替わり、季節が移り変わって一年が過ぎていくのです。

さて、冬の季節は自然界に陰の気が増すのですから、当然身体もその影響を受けて誰でも寒さを受けやすくなります。冬本番を迎える前でも、突然の気温の低下に衣服の調節が追い付かず、体に冷えを受けて寒邪に犯されることもあります。
この冷えは体内のめぐりを鈍らせるため、足の筋肉や首筋のひきつりやこわばり、関節の痛みなどが起こりやすくなります。誰もが体を温める力が弱まり、悪寒、腹痛、下痢、手足の冷えを感じやすくなります。

それでは陰の気が勢力を増す冬を元気に過ごすには、どのような食べ物を選べばいいのでしょうか?身体を内側からしっかりと温める、寒い時期に向く食材をご紹介します!

(1) 温熱性食材を摂る!

薬膳での考え方で最も特徴的なのは、食材には体を温めたり冷やしたりする性質があるということ。冬は体が冷えやすいので、体を温める効能を持つ「温熱性の食べ物」を積極的に取り入れます。

〜体を温める野菜〜
かぼちゃ、シソ、シナモン、生姜、ネギ、玉ねぎ、ニラ、にんにくなど
〜体を温める肉類〜
ラム肉、牛肉、鶏肉など
〜体を温める魚介類〜
エビ、鮭、ナマコなど
〜その他体を温める食材〜
黒砂糖、栗、くるみ、胡椒、日本酒、酢、唐辛子、なつめ、もち米など

(2) 薬膳で考える“冬向き食材”を積極的に摂る!

冬の寒さに最も弱い「腎」という臓器があります。ここは、人の老化を司る大切な場所です。この時期の厳しい寒さに影響を受けて、腎の働きが悪くなると、腰や膝がだるくなったり耳鳴りがしたり冷えを強く感じたりするだけでなく、ひと冬で体の老化をぐっと加速させると言われています。こんな寒い季節に腎を守るため積極的に摂りたい食材は、「補腎効果(=腎を強くする」を持つ「黒い食べ物」や「海から採れるもの」がおススメです。

〜補腎食材の効能ご紹介〜

黒豆
血をきれいにして女性を若く美しく保つアンチエイジング食材の定番です。
毎日の白いご飯。時々黒豆を混ぜ込んで炊き、黒豆ご飯を主食に取り入れてみましょう。
黒豆茶でもOK。


栗は足腰を強くして老化を防止する補腎食材です。最近は便利な「むき甘栗」が売っていますので手軽なおやつがわりに栗を食べる習慣を!

黒ゴマ
食卓に黒ゴマを置いておき、何にでもパラパラ。血中のコレステロールを下ろしたり、便通を促進したりと、老廃物排出にも優れる食材です。

クルミ
老化防止食材のクルミを食べましょう。その形が脳に似ていることから健脳効果があるとされ、記憶力減退にストップをかけます。その他、精をつけたり、腰や膝を強くする強筋骨効果も。

海の魚介類
エビ、ホタテ、牡蠣、アサリ、しじみ、サザエやなまこなどを食べましょう。エビは体を芯から温め腎を強める滋養強壮作用の高い食材。牡蠣もスタミナをつけて体の潤い不足から来る火照りを鎮めます。

きのこ類
免疫力を高める椎茸などのきのこ類を食べましょう。しいたけは免疫力を高めてパワーをつける補気作用の高い食材で、生活習慣予防やガン予防に大変効果的。マイタケは有名な霊芝と同じサルノコシカケ科の中でも唯一の食用ですから、滋養強壮や免疫力アップに積極的に摂りたい食材です。

(3) 何より冷たい飲み物・食べ物を避け、温かい料理を!

冬には温かい飲み物、蒸し料理、とろみのついたあんかけ料理、煮込み料理、鍋料理など、蒸気が上がるアツアツホットメニューを多く取り入れること。お部屋も体も温まり一石二鳥です。内側からもしっかりと身体を温めましょう。

今月の薬膳レシピ アンチエイジング常備菜

冬におすすめの常備菜1 「昆布ときのこの山椒煮」

生活習慣病やガン、アンチエイジング、デトックスなど幅広いテーマに登場する昆布を使った常備菜。体内のごみを出し、腎を補う食材に、身体を温める山椒の実を加えて風味もバッチリ!箸休めやお弁当にもピッタリです。

<材料>
昆布15g、干しシイタケ4枚、マイタケ1パック、ちりめんじゃこまたはシラス30g、あれば山椒の実または山椒の実の佃煮大さじ1、酒大さじ1、醤油大さじ2と1/2、みりん大さじ2、きび砂糖大さじ1。

(作り方)

  1. 昆布は水につけて1時間以上置く。3センチ各程度の食べやすい大きさに切る。
  2. 干しシイタケは水で戻して置く。軸を取って細切りする。
  3. 鍋に角切りした昆布、昆布のつけ汁、しいたけの戻し汁を入れて弱火で30分ほど煮る。(水分が少なくなってきたら水を足す)
  4. 昆布が柔らかくなったら干しシイタケ、ほぐしたマイタケ、ちりめんじゃこ、山椒の実を加え、しばらくしたら酒、醤油、みりん、きび砂糖を入れて煮汁が少なくなるまで煮る。

冬におすすめの常備菜2 「しじみのピリ辛ニンニクソース炒め」

しじみは酒毒を下ろし、喉の乾きやむくみを癒すので、昔からお酒を飲んだ翌朝はしじみを食べろといわれるほど。貝類は身体のサビを落として血を補うものが多いので、旬を迎えて美味しくなる冬には特に積極的に摂るようにしたい食材です。これに身体を温めるにんにくや生姜を加えて、また「補肝腎」の代表的な薬膳食材、クコの実(枸杞子)もお忘れなく!

<材料>
しじみ 殻つき200g
(ピリ辛ニンニクソース)
ニンニクみじん切り、しょうがみじん切り各大さじ1ずつ、豆板醤小さじ1/2、酒、醤油 各大さじ1ずつ、ゴマ油大さじ1、水戻ししたクコの実適量。
<作り方>

  1. しじみは一晩砂だしして、殻と殻をこすり合わせてよく洗う
  2. ゴマ油を熱してニンニクとしょうがを加え豆板醤を炒める
  3. 洗ったしじみを加えて炒め、口が開いたら酒、醤油で調味する
  4. 器に盛りクコの実を散らす

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