【寺石佳世の栄養学コラム】10月号 『不眠』

「眠った気がしない」、「なかなか寝付けない」・・・など、不眠の状態が続くと疲労感が増しますね。
栄養バランスのよい食事ができていないと、睡眠に必要なホルモンが分泌されず、不眠の原因になります。また、睡眠不足が食欲をコントロールするホルモンの働きに影響してしまい、不眠が体重増加を招くという研究も報告されています。毎日、元気に活動するために、不眠はできるだけ解消したいですね。
そこで、今回は不眠に効果のある食べ物や生活習慣についてお伝えします。

まず、睡眠について

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があります。レム睡眠は夢を見ている時の浅い眠りで、脳は起きているけれど体が休息している状態です。ノンレム睡眠は深い眠りで、筋肉の活動は多少ありますが、脳が休息している状態です。
睡眠中は、レム睡眠とノンレム睡眠の周期が繰り返されます。
体も脳もしっかり休息するためには、浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠、どちらも大切です。

睡眠は神経のはたらきも関係しています

昼間、活動しているときは「交感神経」が働き、夜になって眠りにつくときは、「副交感神経」が働いています。
しかし、ストレスやビタミン不足などで、この神経の切り替えが悪くなると、不眠になってしまいます。

大切なのは、睡眠ホルモン「メラトニン」

メラトニンが分泌されると人は眠くなります。つまり、睡眠はメラトニンというホルモンの分泌量によって決まると言えます。
メラトニンが分泌されると末梢血管が広がり、体内の熱が外に放出されます。その結果、体温が下がって眠くなるのです。

その他、メラトニンには呼吸や脈拍、血圧を安定にしたり、副交感神経を優位にしたりする働きがあります。それによって、私たちの身体はさらに眠りやすい状態になります。
一般的に、メラトニンの分泌は夜9時頃から始まり、夜11時くらいに眠気を感じるレベルにまで高まります。
けれど、不規則な生活を続けていたり、朝起きる時間が遅かったりすると、夜になってもメラトニンの分泌が増えていきません。すると、寝る時間になっても眠気がおとずれず、寝つきが悪くなってしまいます。
では、メラトニンの分泌を増やすにはどうすればいいでしょうか。そのカギは「セロトニン」にあります。

セロトニン

メラトニンはセロトニンという神経伝達物質からつくられています。
セロトニンは夜になると睡眠ホルモン「メラトニン」に変わり、入眠をうながします。また、セロトニンは朝の目覚めをサポートする物質でもありますし、セロトニンそのものに精神を安定させる効果があります。このセロトニンはトリプトファンから作られています。

不眠におススメの栄養素

≪トリプトファン≫

トリプトファンは、食品のたんぱく質に含まれる必須アミノ酸(体内で合成されにくいアミノ酸のこと)のひとつです。
トリプトファンは、体内で吸収されて脳に運ばれた後、「セロトニン」に変化します。
セロトニンとメラトニンは快適な眠りを得るために必要なホルモンですから、その原料となるトリプトファンを摂ることはとても大切です。
トリプトファンを多く含む食品は、かつお、まぐろ、さば、豚肉、鶏肉、牛肉、卵、大豆製品、牛乳、ヨーグルト、チーズ、バナナなどです。

動物性食品のたんぱく質に多く含まれますが、炭水化物といっしょに摂取することで脳に吸収されやすくなる性質があります。いくらトリプトファンが多く含まれるからといって魚や肉ばかり食べるのではなく、ご飯やパンなどの主食と組み合わせることが大切です。

≪ビタミンB12≫

ビタミンB12は、メラトニンの分泌量を調整して、正しい睡眠のリズムを作り出してくれます。つまり、ビタミンB12が不足すると、脳からのメラトニンの分泌が上手くいかなくなり不眠になりやすいのです。

ビタミンB12は、植物性食品にはほとんど含まれていないため、不足しないためには、肉類や魚類、乳製品などの動物性食品を摂る必要があります。

≪ビタミンB6、マグネシウム、カルシウム≫

ビタミンB6とマグネシウム、カルシウムは、神経伝達をスムーズにする効果があり、眠る時に必要な副交感神経の働きを高めてくれます。つまり、神経を落ち着かせ自然に眠りにつくことができる効果があるということです。

ビタミンB6は、魚類や肉類の他、大豆や乳製品、ごまなどに

マグネシウムは、しらす干し、いわしの丸干し、桜えび、大豆製品、ほうれん草、ひじき、昆布類、のり、玄米、ココアなどに

カルシウムは、小魚、大豆製品、緑黄色野菜、海藻類、乳製品などに多く含まれます。

≪カフェイン≫

カフェインには覚醒作用があるので、不眠に悩む人は、コーヒーや紅茶、緑茶、チョコレートなどは寝る前3~4時間は摂取しないほうがよいでしょう。

≪夕食、夕食後のおやつ≫

食事を消化吸収するにはエネルギーが必要です。寝ようとしているときに、食事の消化吸収に体内のエネルギーを使ってしまうと、体がうまく休めず睡眠につきにくいと言われています。お腹が一杯のまま寝ないように心がけましょう。特に脂っこいものを食べると消化吸収に時間がかかります。脂っこいものは昼のうちに食べましょう。

≪アルコール≫

少量のアルコールは血管を拡張して血流をよくし、身体をリラックスさせますが、アルコールの多量摂取は睡眠の質を下げてしまいます。適量を心がけましょう。

≪喫煙≫

喫煙も睡眠の質を落とします。煙草に含まれるニコチンには覚醒作用があり、眠りが浅くなる原因になります。また血行が悪くなり、冷えを感じて不眠症状に陥ることもあります。

≪入浴≫

37~39℃ぐらいの、少しぬるめのお風呂にゆっくり入ると、体をリラックスさせる効果があり熟睡できると言われています。
忙しいからとシャワーだけで済ませるのではなく、リラックスする時間を作りましょう。

ばくだん団子と白菜の蒸し煮

材料【4人分】

豚ミンチ肉 200g
玉ねぎ 1/2個
にんじん 1/4本
芽ひじき 5g
しょうが(すりおろし) 小さじ1
1個
片栗粉 小さじ1
塩・こしょう 少々
白菜 1/4個
しめじ 1パック(100g)
1カップ
鶏ガラスープの素 小さじ1
塩・こしょう 少々

作り方

  1. 玉ねぎ、にんじんはみじん切りに、白菜は幅3cmに切り、しめじは根元を切り落として小房に分けます。芽ひじきは水に浸けて戻します。
  2. ボウルに、豚ミンチ肉、玉ねぎ、にんじん、水気を切った芽ひじき、しょうが、卵、片栗粉、塩、こしょうを入れ、粘りが出るまでよく混ぜ合わせます。12等分し、丸めます。
  3. 鍋に水を入れて強火にかけ、沸騰したら鶏ガラスープの素、塩、こしょうを加えて溶かします。(2) を加え、団子の表面に火が通れば、白菜、しめじも加えます。再び沸騰したら弱火にし、蓋をぴったり閉めて約15分蒸し煮にします。

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