【寺石佳世の栄養学コラム】6月号 『目の健康』

〔目は疲れやすい器官〕

 人は五感を使って生活していますが、外界から得る情報の80%以上を目から得ているといわれるほど、目は大きな役割を担っています。このため、目は疲れやすい器官であり、その機能を維持するために多くの栄養素を消費しています。
 さらに、現代人は、テレビやパソコン、ゲームなどの画面を見ることで、より一層目を酷使しています。そのため、最近では目の疲れや不快感を訴える人が増えているようです。

〔疲れ目とは・・・〕

 疲れ目は毛様体筋という筋肉組織の疲労によって生じます。レンズの役割をする水晶体が、そのまわりにある毛様体筋の伸縮によって厚みを変化させて網膜に焦点を合わせる、というのが目のメカニズムです。
 けれど、近くを長く見続けると毛様体筋の緊張状態が続き、そのために目が疲れてしまいます。
 疲れ目は、視力の低下、目が重い、充血、目のかすみ、のような症状のほかに、頭痛、肩こり、吐き気、腰痛、倦怠感など、目以外にも症状を引き起こす可能性があります。

〔偏った食事にご用心〕

 外食やコンビニ弁当といった食事ばかりしている人、食事の代わりにお菓子で済ませている人、繰り返しダイエットをしている人などが見られますが、偏った食事や無理なダイエットをすると、体に必要なビタミンやミネラルが不足してしまいます。そのため、疲れ目やそれ以外にも体に不調が起こるのです。

〔まずはバランスのよい食事を〕

 目の健康を維持するためには、エネルギー源となる糖質、体を作るたんぱく質、体を上手に機能させるビタミンやミネラルなど、さまざまな栄養素をバランスよく摂ることが大切です。その上で、目を健康に保つ栄養素をたっぷり摂取しましょう。

〔目を健康に保つ栄養素〕

ビタミンA 鶏・豚・牛肉などのレバー、うなぎ、チーズ、銀だら、あなご など 「目のビタミン」と言われるほど重要な栄養素です。
目の角膜や粘膜が乾燥するのを防ぎ、眼精疲労の予防にも役立ちます。ドライアイや目が疲れやすい人は積極的に摂りたい栄養素です。
また、40代以降になると衰えていく暗がりで物を見る時に必要な栄養素でもあります。
ビタミンAは過剰症が心配ですが、ベータカロテンなら摂り過ぎの心配がありません。
ベータカロテン かぼちゃ、にら、にんじん、小松菜、ほうれんそう、ブロッコリー、三つ葉、モロヘイヤ、あんず、スイカ、びわ、あしたば など
ビタミンC 小松菜、ブロッコリー、キャベツ、かぼちゃ、レタス、カリフラワー、さつまいも、イチゴ、カシス、キウイ、オレンジ、グレープフルーツ等の柑橘類 など ビタミンCが充分に補給されないと、目の毛細血管が弱くなり、視力の低下を招きます。
目の調節機能をつかさどる水晶体の透明度を保ち、細菌などから目を守り、目をリフレッシュさせる働きがあります。
また、ビタミンCは体内に蓄えることができないため、一度に大量に摂取しても体外へ排泄されてしまいます。数回に分けて適量ずつ摂ることが大切です。
ビタミンE うなぎ、イカ、エビ、うに、数の子、ツナ油漬け、かぼちゃ、ほうれんそう、さつまいも、植物オイル など 老化を防ぎ、若さを保つ「若返りのビタミン」です。体を活性化、血行を促進して目に活力を与えます。
40代以降で、ドライアイ、疲れ目、老眼が気になる方は積極的に摂りましょう。
ビタミンB1 豚肉、うなぎ、紅鮭、ぶり、かつお、たらこ、牡蠣、帆立、大豆、えんどう豆、玄米、落花生 など 視神経のエネルギー代謝を助け、目から脳への神経伝達機能を正常に保つ働きがあります。
不足すると、この働きが悪くなり、疲れ目の症状を引き起こします。
ビタミンB2 レバー、うなぎ、どじょう、ひらめ、いわし、ぶり、さんま、卵、牛乳、ヨーグルト、納豆、アーモンド、海苔 など 目の細胞の再生を促します。
網膜の働きを助けて目の充血を解消し、視力回復にも役立ちます。
ビタミンB6 牛レバー 、鶏レバー、かつお、鮭、サバ、大豆、牛乳、にんにく、ひまわりの種、ごま など 水晶体と毛様体筋の主成分であるたんぱく質の吸収を助け、免疫機能を高めてくれます。
ビタミンB12 牛レバー 、鶏レバー、わかさぎ、赤貝、あさり 、牡蠣 など 視神経の働きを助けます。
マグネシウム ほうれんそう、パセリ、ひじき、昆布類、のり、豆類、納豆、玄米 など 網膜の視覚色素を守り、眼球の血液循環を正常に保つのに役立ちます。
カルシウム 乳製品、納豆、緑黄色野菜、魚介類、海藻類 など 眼球後方部の強膜の機能を補佐します。
リコピン トマト 活性酸素を取り除いて視力を保持し、目の粘膜を正常に保つという抗酸化作用があります。
ルテイン ケール、ブロッコリー、ほうれんそう など 水晶体や網膜の酸化や紫外線からのダメージを防ぎます。
目の老化が原因の白内障や飛蚊症、黄班変性症を予防します。
アントシアニン カシス、ブルーベリー
黒ごま、赤じそ、赤キャベツ、すいか、ぶどう、なす(皮の部分)
目の網膜にはロドプシンという色素が存在しますが、目が光の刺激を受けるとこの色素が分解と再合成を繰り返しながら、信号を脳に伝達します。しかし、目が疲れてくると、ロドプシンの再合成のはたらきがにぶくなり視力が低下します。アントシアニンには、このロドプシンの再合成を促したり、網膜に栄養を運ぶ毛細血管を丈夫にしたりする働きがあります。
また、目の周りの血流を向上させるため、目の下のクマの解消も期待できます。

ブロッコリーのツナサラダ

材料【4人分】

ブロッコリー 1株
パプリカ 1/2個
ツナ缶詰 1/2缶(40g)
玉ねぎ(みじん切り) 大さじ1
白ワインビネガー 大さじ1
しょうゆ 小さじ2
焼きのり 適量

作り方

  1. ブロッコリーは小房に分けて、塩を加えた熱湯で茹でます。少し硬めでざるに上げ、そのまま冷まします。
  2. パプリカは縦に半分に切って、細切りにします。
  3. ツナ缶詰をオイルごとボウルに入れ、白ワインビネガー、しょうゆ、玉ねぎを加えて混ぜ合わせます。
  4. 器にブロッコリー、パプリカを盛り付け、3 をかけ、細切りにした焼きのりを散らします。

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