【吉川珠美の栄養学コラム】2月号 血糖値のバランス

エネルギー源として大切な糖質

 近頃、糖質を抜いたり炭水化物を摂らないというダイエット法をよく聞きます。確かに糖質を摂りすぎると体脂肪として蓄積されてしまいますが、糖質も身体にとって大切な栄養素。極端に減らしてしまうと体にさまざまな悪影響が表われる危険性があります。
 特に気をつけたいのは脳への影響です。筋肉など脳以外の細胞は糖質がなければ脂肪をエネルギー源として利用できますが、脳は基本的糖質(ブドウ糖)しか利用できません。しかも脳は重さが体重の約2%しかないのにエネルギーは一日の摂取量全体の20%も消費します。そのためブドウ糖が不足すると集中力が低下して仕事の効率が落ちたり、イライラや落ち込みやすくなったり、ひどい低血糖状態になると命に関わる問題となります。
 糖質を上手に摂るテクニックはダイエットだけでなく、糖尿病予防や脳の活性化などさまざまな意味での健康にとても大切なのです。

カロリーよりも吸収の早さがポイント

 糖質の摂り方で大切なのはカロリーよりも吸収の早さです。例えばお砂糖などの甘い食べ物には吸収の早い糖質が含まれています。甘いもの以外でもパンやお菓子などのふわふわサクサクした食べ物は消化酵素が働きやすいので早く吸収されます。いっぽうご飯にはゆっくり吸収される糖質が含まれています。すべての糖質は小腸でブドウ糖という一番小さい形に消化されたあと吸収され、血液中に取り込まれます。血液中に入ったブドウ糖の値のことを血糖値といいます。吸収の早いお菓子などを食べると血糖値が一気に上昇し、それを処理するためにインスリンも大量に分泌され、かえって低血糖となってしまいます。また急激に吸収されたブドウ糖は細胞で利用されなければ体脂肪として蓄積されてしまいます。反対にご飯などは吸収がゆっくりなのでインスリンの分泌も節約できるうえ、エネルギーを持続的に燃やし続けることができます。つまり「同じ糖質の量=同じカロリー」でも、吸収の早いお菓子のほうが、吸収の遅いご飯よりも太りやすいといえるのです。
 また低血糖状態になると脳はエネルギー不足と感じて血液中に糖分を補うために空腹中枢を刺激し、また甘いものが食べたくなります。そこでさらにお菓子などを食べる・・・ということを繰り返しているとインスリンが効きにくくなったり、これ以上分泌できないという状態、つまり糖尿病を発症してしまうのです。
 このように糖質は脳にとって欠かせない大切な栄養素ですが、カロリーだけでなく吸収の早さを考えながら上手に食べることがポイントとなるのです。

食物繊維とビタミンB1を一緒に

 そうは言ってもスイーツを食べたときの喜びは、人生を豊かに生きるために捨てがたいもの。そこで健康的に糖質を摂るためにオススメしたいのが食物繊維とビタミンB1です。食物繊維は低カロリーで満腹感があるだけでなく、糖質の吸収を邪魔して緩やかにしてくれるのも嬉しいポイント。またビタミンB1は糖質をエネルギーとして燃やすのを助けてくれるので、脂肪になりにくくするだけでなくスタミナアップに役立ちます。食物繊維は根菜類やきのこ類、イモ類に、ビタミンB1は豚肉やねぎ類、ごまなどに豊富に含まれています。
 例えばデザートを食べるときに、さつまいもやかぼちゃ、ゴマなどが使われたものを選ぶと無理なく食物繊維やビタミンB1が補えます。和菓子ではこしあんよりも粒あんのほうが小豆の食物繊維が豊富です。また穀類は精製度が低いほど食物繊維が豊富なので、全粒粉を使ったお菓子やパンを選ぶのもよいでしょう。
 さらに積極的にダイエットに取り込む場合は、食事でも食物繊維とビタミンB1をしっかりと補いましょう。今回は「ごま豚汁」をご紹介させていただきます。豚肉とごまのビタミンB1、根菜の食物繊維がたっぷり補えますし、ごまのコクがプラスされて旨味もたっぷり。寒い時期には心も体も癒してくれるメニューです。

ごま豚汁

4人分

豚ロース薄切り 200g
ごぼう 1本
にんじん 1/2本
しめじ 1パック
大根 80g
出汁 4カップ
青ねぎ 適宜
ごまペースト 60g
味噌 大さじ3
醤油 適宜
ごま油 少々
  1. ごぼうはささがきにして水にさらし、水気を切る。にんじん、大根は5mm厚さのイチョウ切りにする。しめじは石づきを取って小房に分ける。青ねぎは小口切りにする。豚肉は食べやすい大きさに切る。
  2. 鍋にごま油を熱し、ごぼう、にんじん、しめじ、大根を加えて炒める。しんなりしてきたら出汁、豚肉を加え沸騰したら表面がコトコト静かに煮立つくらいの火加減にしてアクを取りながら約10分煮る。
  3. 味噌、ごまペーストを少量の煮汁で溶きのばしながら加え、醤油で味を調える。器に盛って青ねぎを散らす。

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