【赤堀真澄の薬膳コラム】  2月号 若さを保つ秘訣 腎を補い「骨」を強くしてアンチエイジング ~腰痛がもたらす痛みの種類と体質の関係~

足腰が丈夫で腰痛や膝痛とは無縁の活動的な方は、いつまでも若々しい印象ですね。
痛みの原因は多岐に渡りますが、特に慢性的な腰痛に関していえば

  1. 「血」の流れが悪い状態である(=瘀血(おけつ)タイプ)
  2. 「脾(ひ)」や「腎」の気が不足している(=脾虚(ひきょ)または腎虚(じんきょ)タイプ)

ことが原因にあげられます。

中医学では、同じ腰痛でも痛み方によって腰痛を引き起こしている原因が違うと考えています。ではタイプ別にそれぞれの体質と適する食材をご紹介していきましょう。

昼間はマシだけど夜に痛みが増す。刺すようにキリキリ痛いというタイプの腰痛には・・・

経絡(=体を流れる気血水の流れ道)に古くて汚れたドロドロの血が固まっていて、それが痛みの原因になっているタイプです。ご存じの通り「血」は温まると流れ、冷えると流れが滞る性質があります。寒い!というだけで誰でも血管が収縮し血流が悪くなるので、冷えると更に痛みがひどくなります。
また、かつて腰に打撲などの強い衝撃を受けたことがあったり、いつも同じ姿勢で腰に余分な力がかかったりすることも、腰部の周りの血流が滞り、痛みの原因になります。
汚れた血の塊を溶かして、血液をサラサラにする食材を摂りましょう。

羊肉(ラム肉)
肉類の中でも特に体を温める効果と補血効果に優れていることから「女性向きの肉」と言われています。気血を補い体力をつけて、足腰の痛みを改善します。
紅花(べにばな)
瘀血解消の救世主といえば紅花。血行不良と冷えによる痛み全般に用いられます。
キリキリ痛い腰痛、冷えて痛む生理痛などには、紅花にお湯を注いだ紅花茶をおすすめします。ただし紅花は妊婦さんは禁忌(きんき)です。妊娠が分かった時点で紅花を摂るのはやめましょう。
栗(くり)
栗は瘀血を溶かす働きを持つ下半身強化食材です。
最近は便利な「むき甘栗」が売っていますので、おやつがわりに栗を食べる習慣を。

重だるい感じの痛みが、湿気の季節や雨の日にひどくなる。横になっても痛みが軽くならない!というタイプの腰痛には・・・

「脾(ひ)」(=消化吸収機能)の働きが弱り、食べたものから気を作りだしにくく、水分代謝が正常に働かず、体に余分な水分を溜めこんでいる方です。膝に水が溜まりやすいのも特徴です。
このタイプの腰痛の方は、まず体の冷えを取りお腹を温めることによって「脾=胃腸機能」を回復させます。胃腸は冷えると一気に働きが悪くなって、食べたものの栄養から気血を十分に作れなくなります。気血の量が少ないということは当然流れも悪くなります。同時に水分も滞り、湿気の多い日に腰痛・頭痛・膝痛などの痛みが出やすくなります。

「腰痛を治すのにお腹を強くする」というと遠回りな感じがしますが、これがこのタイプの方の根本原因ですから、まずはそこを改善しないといけません。
おすすめの食べ物は、お腹を温め、胃腸を強くし、水分代謝を正常にして体の余分な湿気を取り除くものを積極的に摂るようにしてください。

刀豆(なたまめ)
体を温める豆で、冷えを取り除きます。豆類はお腹を強くして水分代謝を正常にするので、湿気が多い時に痛む腰痛や関節痛に効果的。
生姜(しょうが)
民間薬の王様といえば生姜。内臓から体全体を温める効果があります。
お腹の冷えが原因の胃痛、ゾクゾクの風邪にも。
薏苡仁(よくいにん)(はと麦)
お腹を強くしてむくみを解消します。余分な水分は排出させますが、喉の渇きや荒れたお肌には潤いを与えるという素晴らしい効能があります。昔からイボ取りの民間薬としても有名です。

下半身がだるい、按摩すると気持ちいい。疲れるとだるい腰痛が悪化。時には膝やかかとがジンジン痛む。痛みはシクシクした感じというタイプは・・・

これは典型的な「腎虚」の腰痛の症状です。
過労は腎気を消耗させるので、疲れるとだるい痛みが増幅します。またこのタイプは横になると痛みが軽減します。腎の経絡がかかとを通っているので、かかとがジンジンと痛むこともあります。下半身を温める食材、腎を強くする食材で腰痛改善を目指します。

肉桂(シナモン)
特に下半身が冷えて痛む方におすすめ。経絡を温め、気血の流れをスムーズにして痛みを改善してくれます。
杜仲茶(とちゅうちゃ)
生薬としての杜仲は樹皮ですが日本では一般には手に入らないので、葉っぱである杜仲茶を使います。腎の働きを助けて、筋骨を強くし、下半身を強化する働きがあります。
海老(えび)
足腰を温めてだるさを取り、強精作用に優れています。殻ごと食べられる桜海老はカルシウムも豊富なので、腎を強めて骨を強化するにはもってこいの食品です。
胡桃(くるみ)
老化防止、滋養強壮に優れています。胡桃肉(ことうにく)という名の薬でもあり、実際の漢方処方にも配合されます。腰膝の冷痛、頻尿、記憶力減退に効果があるほか、なかなかとまらない咳や便秘にも効きます。

アンチエイジングにもピッタリ!体を温める本格中華で足腰強化&おいしく腰痛対策 
海老とくるみのピリ辛黒酢炒め

香港在住時、四川料理のシェフから習った有名な中国料理「宮保蝦仁」=海老とカシューナッツの炒め物のアレンジです。本来は唐辛子を山のように使うのですが、子供でも食べられるよう鷹の爪は控え目にしてあります。辛いのが大丈夫な場合は、唐辛子とはまた別の辛味と旨みを持つ「花椒」を少々加えてもおいしくできます。花椒もお腹を温める生薬です。

(材料)4人分

ブラックタイガー 16匹(殻と尾、背ワタを取る。良く洗って水気を拭き、下味をつけておく)、エビの下味(酒大さじ2、塩小さじ3分の1、片栗粉小さじ2、卵白1個分)。
くるみ10個(トースターで軽く乾煎りする)、白ネギみじん切り大さじ1、にんにく・生姜みじん切り各小さじ1ずつ、鷹の爪1本、ニラ2分の1束を4センチ長さに切る。ごま油適量。
(調味料)しょうゆ小さじ2、オイスターソース小さじ1、砂糖小さじ1と2分の1、中華だしの素小さじ1、黒酢小さじ1と2分の1、ごま油小さじ1。

(作り方)

  1. フライパンにごま油大さじ1を熱し、エビの色が変わるまで炒め、一旦取り出す。
  2. そのフライパンに再びごま油大さじ1を熱し、白ネギ、にんにく、生姜、鷹の爪を炒め、香りが出たら1のエビと乾煎りしたクルミを加える。
  3. ニラと合わせ調味料を加え、強火で一気に絡め、とろみがついてきたらできあがり。

(効能)

エビ・くるみ・ニラ・黒酢の補腎食材ばかりで作る炒め物。黒酢は普通のお酢よりアミノ酸を10倍多く含みます。白ネギ、にんにく、生姜、唐辛子は肺を活性化させるので風邪予防にも。腰痛対策にはもちろんのこと、代謝を高め、腎を補い、血液をサラサラにするアンチエイジングに効く一品にもなります。

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