【赤堀真澄の薬膳コラム】  1月号 中医学的冷え性改善養生法

国際中医師・薬膳講師 赤堀 真澄

寒い季節になると、いっそう体の冷えがつらく感じる女性は多いのではないでしょうか。冷え症はもちろん体質的なこともありますが、もしかしたら自分で冷えを招く生活をしているのかもしれません。そこで今回は「体を冷やす日常のなにげない習慣」を知り、まずは日々の生活から冷える原因を取り除き、冷え性を改善する方法についてお話したいと思います。

冷えを招く習慣

これらは全て体を冷やす原因となります。あてはまるものがないかチェックしてみましょう。

  • 慢性的な運動不足
  • お風呂はシャワーで済ます
  • 足元はナマ足が好き、または薄いストッキング一枚、ヒールの高い靴が好き
  • 下半身より上半身のほうが身につける衣服の枚数が多い
  • 便秘薬や鎮痛剤、抗生物質をよく服用する
  • 食事の時は「とりあえずビール!」
  • 冬でも氷入りの飲み物やアイスクリーム、生野菜サラダを食べる
  • 何かとストレスを感じる。

冷える原因

冷えを作りだす原因は主に「めぐりの悪さ」です。
もともと体を温める成分が少ないという体質のほかに、体に必要な三要素、「気・血・水」の流れが悪くなると、人は途端に冷えを感じます。ではなぜこれらのめぐりが悪くなるのでしょうか?

  • 原因1:ストレスで冷える(気滞(きたい))
  • 原因2:血のめぐりが悪くて冷える(瘀血(おけつ))
  • 原因3:水のめぐりが悪くて冷える(水滞(すいたい))
原因1について(気滞(きたい))
人はストレスを感じると、気血の流れを司る「肝」という臓器に影響がでて、気の流れが止まってしまいます。
また、血や水は自力では流れることができません。気が流れることによって、はじめて気と一緒に体をめぐることができるのです。このことから、ストレスは、「気・血・水」全てのめぐりを悪くしてしまう大きな原因となります。ストレスで気の流れが滞ることを中医学では「気滞」といいます。喉に異物感がある、片頭痛がある、胸や脇が痛むなど、体のサイドに張った痛みがある人はこの気滞タイプです。
原因2について(瘀血(おけつ))
血液の働きとは、全身に栄養と酸素と潤いを運び(動脈)、老廃物と疲労物質を回収(静脈)するものです。血液の流れが悪くなると、栄養や酸素が隅々まで行き届かず、疲労物質が体内に残ったまま。瘀血になる原因はストレス(気滞)、体を冷やす冷たいものの飲み過ぎや食べ過ぎ、貧血などです。手足の先が特に冷えるという方はこの瘀血タイプです。
原因3について(水滞(すいたい))
体の水分の代謝を司るのが主に「脾」と「腎」です。
これらの臓器のパワーが弱いと水分の運搬が滞り、要らないところに余分な水が溜まりやすくなります。水とは体を冷やす「陰」の成分であり、陰の成分がたくさん体にあることで冷えを感じるというしくみになります。
ジャンプした時にお腹がポチャポチャいう、お腹が空いていないのに腸がグルグル鳴る、水太りしているか、太ってなくても筋肉の少ない方はこの水滞タイプです。

体を温める食材

体の内側から冷えを取るには、とにかく体を温める食材を毎日しっかりと摂ることです。氷入りの飲み物や冷たいアイスクリームなど、お腹を冷やす食べ物は極力避けましょう。生野菜ではなく温野菜や蒸し野菜を。下記の温熱性食品を、鍋やスープ、煮物やあんかけなど温かい料理で食べるようにしてください。

温熱性食品:
あなご、エビ、かぼちゃ、キンカン、栗、クルミ、黒砂糖、胡椒、さくらんぼ、鮭、日本酒、サンザシ、シソ、シナモン、生姜、酢、玉ねぎ、陳皮、唐辛子、鶏肉、なつめ、ナマコ、ニラ、にんじん、にんにく、ネギ、玫塊花(まいかいか)、松の実、ミョウガ、もち米、桃、ラム肉、ライチ、らっきょうなど。

芯からポカポカ!温熱性食材ばかりで作る滋養強壮作用抜群の補気補血スープ
「鶏肉の漢方スープ」

<材料>4人分

鶏もも骨付き肉300グラム、酒大さじ2、もち米2分の1カップ、なつめ6個、くこの実大さじ1、松の実大さじ1、甘栗(小)1袋、にんにく4片、水1ℓ、塩適量、柚子胡椒適量。

<作り方>

  1. 鶏肉はよく洗って、きれいに水気をふいておく。
  2. もち米は洗って、30分水に浸す。水気を切っておく。
  3. 鍋に鶏肉と水、酒を入れ、沸騰してあくが出たら取る。弱火にする。
  4. もち米、なつめ、くこの実、松の実、甘栗、にんにくを加えて、弱火で1時間煮込む。
  5. 途中、差し水をして水の分量を調節しながら、スープにとろみがでて白っぽくなってきたら、塩で味を調節してできあがり。
  6. 食卓に柚子胡椒を入れた小皿を用意し、ほろほろっとくずれるほど柔らかくなった鶏肉を柚子胡椒につけて食べる。

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